この季節、わたしは土手フェチになる。
冬枯れだった土手や斜面に芽吹きはじめる植物の芽は、それぞれに違った緑色で、たとえ小さくても強いエネルギーを発している。冬の間に溜め込まれた力を使ってぐっと地面から出てくる瞬間は、あまりにも美しくて、人の心にも元気を分けてくれる。
3月の名残り雪が降った日、ふきのとうを摘んだ。いよいよ春の山菜、野草の季節が始まる。もうお馴染みの表現ではあるが、春はあくの強いものを食べると良い。冬の間になまってしまった身体には、毒素やだらだらとした気持が溜まってゆく。その悪いものをあくで追い出してしまうのだ。
つまり、解毒。
食べ過ぎると癌の発生を促すとして、一時期騒がれたわらびだが、年中わらびばかり食べるならともかく、春の一瞬わずか2週間ばかり食べたとしても気にする方がどうかと思う。(日本全国からわらび前線を追いかけて取り寄せれば、2〜3ケ月食べ続けることは可能だが…摘みたてでなければ意味がない)
お浸しにしたり、たたいてとろろにしたり、炊き込みご飯、佃煮風、サラダなどなど、いくらでも食べてしまう。ただし、摘めなくなったら終了、また来年。
要は、自分の住んでいる辺りに生えたものをその時期に食べるぶんには、却って自分の身体の調子を整えるのに役立つのだ。だから、まめに身の回りを眺め、ちょっとづつ様々な緑色を拾う感じで野草を摘んでゆくと良いと思う。そして、薄い衣をつけ菜種油でからりと揚げる。塩を入れた熱湯にさっと泳がせる。緑の色が鮮やかに変る瞬間が、最高に美しい。この最高の瞬間を見極めて取り上げる。
美しい色は美味しい。
美味しいものを食べたくて、今日も私は目を凝らす。

