グリーンフィンガー

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ニュージーランドの都市、オークランドには沢山の快適な場所があるが、私が一番好きになったのはパーネルストリートと呼ばれる場所である。観光地として有名であり、確かに観光客が多く歩いているのだが、店と店の間にもぐり込むと、細くてあちこちへと自由に繋がる小路になっていて、急に静けさがやってくる。そこは決して上等ではない木のデッキだったり、石のモザイクだったり、蔦がその隙間にもぐり込みながらからんでいたりして、足の裏に感じる雰囲気が心地良い。さらに、あれこれと木々の特徴を活かした自由な植栽ぶりは、日本の整えられた並木や街路樹を見慣れている目からは信じられないくらい多彩で優雅ある。
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そのぶん、一本づつにきめ細やかな気配りが必要だということは、多少植物を育てている人ならばすぐに気付くはずだ。自由に自然に植物の姿を見せるためには、熟知した人間の手が必要なのだ。

このパーネルには何度もカメラを持って出掛けて行った。地図なんて見ずにあっちへこっちへ、疲れたらいくらでもあるカフェで休憩をし、のんびり寛いだ。この日も好きな場所であれこれ構図を決めていたら、ニコニコしたおじさんがずっと私を見ていた。
「こんにちは。このあたりの雰囲気は本当に素敵ですね。私、大好きなんです」
「ありがとう。ここらあたりは私が作ってるんだよ」
なんだかお互いに嬉しくなって、写真を撮ってもいいですかと聞くと、おじさんはしっかりカメラを見つめてくれた。そして最後に胸に手を軽くあてて、ゆっくり「My pleasure」と笑って言った。

このようにして、植物を幸せに育てられる人は『グリーンフィンガー』を持つ人と呼ばれる。植物に無理をさせず、すくすく育つお手伝いをするグリーンフィンガーたち。
鹿児島にもきっといるはずなのに、この夏へ向かうころから、通りを彩る植物たちが暑さで苦しんでいるように感じられる。植物はただの飾りではない。自ら移動することも出来ない。一度植えたら人間が手を掛け、その植物らしく育ててゆく責任を負うことになる命なのだが…。


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2005年05月15日 12:06に掲載された表紙の写真です。

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