ちょうど去年の今頃、梅雨の時季に、私は縁側で赤紫蘇の葉を塩でもんでは紙にこすりつけて、カラーチャートを作っていた。本当の色を見つけるために。
それはおおすみ食品株式会社からの依頼で、「パッケージを作ってほしい」という内容だった。話を重ねていきながら、個別のパッケージよりも、何でも入れてしまえるペーパーバッグにしようということになり、まず色のイメージを決めることになった。
既存の包装紙などの色は薄い紫で、少し色あせた印象。「どうしてこの色になったんでしょう?」といきさつを聞いてみたところ、どうも社長さんの好きな色が紫で、由来は「紫蘇」。漬け物には欠かせないところから来ている色だった。じゃあおかしくない…でも、ハテ。紫蘇ってこんな色じゃないよね。妙に腑に落ちないのは、私が毎年自分で梅干しを作っているからだ。
ということで、色の課題を持ち帰ってさっそく実験開始!
まず、赤紫蘇をちぎって塩をまぶしぎゅうぎゅう揉むと、出てくるのは濃い紫。そこへ梅酢を加えてさらに揉むと、色は鮮やかなマゼンタに変わるのだ。真っ白な紙にとり、乾かしてチャートから色を拾い出してみると、それはもう、にわかに信じ難いCMYKが表示されたのだ。
この2色を基本にしてデザインのバリエーションを作り、おおすみ食品内での人気投票が行われ、最終案が決定した。撮影した自社農園の大根やごぼう、野菜の写真をマチに配し、持ち手もグリーンに染めてもらうことにして、完成データはいざ中国へ…。
かくして、鹿児島らしいローカルコンセプト(鹿児島弁でどうぞ)
「重かちけもんをずんばい買っ帰ってん、手が痛とならん」
「うっすっとがあったらしか」
紙袋(かんぶくろ。ペーパーバッグではない)が完成した。


※服や気分に合わせ、お好きな色を外側に向けてお歩きください。
完成までにはこういったいきさつがあったので、おもいっきり仕事クサイんだけれど「出してみるか」と私立美術館で開催した「む展」に並べてみた。すると、なんと、この紙袋を使ったという人が現れたのだ。大隅半島方面で漬け物をもらい、その後「いい感じの袋だったから、野菜を入れて他の人へ回したよ」という。
やったー!田舎の緑の景色の中でやり取りされる野菜や漬け物、なぜかやたらと派手なピンクの紙袋。おばあちゃんの手から誰かのところへ野菜のおすそわけ。
そんな光景をイメージしてデザインしたことが、現実になっているらしい。
串良方面へお出かけの方は、ハデな紙袋にご注意ください。
また、主役の漬け物は定期的に鹿児島中央駅でも販売されていますので、どっさり買うとこの紙袋がもれなくついてきます。詳しいスケジュールなどはおおすみ食品株式会社へお問い合わせください。

