サツマハヤトの「うり太郎」

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鹿児島では田舎の薮とか廃墟とかに絡みついて、なんだか我が物顔に鈴なりになっている植物の実…ハヤトウリ。これがまた美味しいんだかなんだか、素手で皮をむくと独特のぬめりで次第に皮膚がガビガビになる気味の悪いヤツなのだ。
まったく!あってもなくても構わない存在だなぁと思っていたのだが、とある食品製造業の社長さんが「食べてみて!」と出してきたのがこの「うり太郎」の試作品だった。ちょうど一年前の話。

ショウガと砂糖と醤油でつけ込まれたハヤトウリは、お漬物と佃煮の中間のような味というのが一番近いような気がするが、カリッ、パリッとした歯ごたえとショウガの効いた甘辛さで、私にとって初めてのものだった。「なんでハヤトウリなんかが、こんなに美味しくなるんですか?」と失礼千万なことを承知で作り方を聞いた。プロに向かって堂々と正面から聞くのが「私の美味しい人生の鉄則」である。

もちろん分量などは教えてもらえる訳もないが、作り方のちょっとしたコツと、どの地方のおばちゃんが作ったものをアレンジしたかは教えてくれた。…とか言いつつ、実際には「うまく聞き出した」わけであるが…。
ともかく味はすぐに覚えた。即、その地方の物産館に目星をつけて車を走らせた。
「にやり」。
思った通りハヤトウリが売っている横に、かすれたコピーで作り方が「自由にお取りください」と下げてあったのだ〜。材料と手順をさっと眺めただけでビンゴ!「この味だ〜い!」とバンザイした。ただし、ハヤトウリ2キロ、とか信じられないような分量で書いてありましたが。

「私も作っちゃったよ〜ん」
「げげげっ!ばれた!」
「でも自分で作ったら甘さがくどいんです」
「それは○○に変えるとあっさり仕上がるんだな」
「やった、ありがとうございます〜」
社長さんと笑いながら「ハヤトウリだから、うり太郎でしょう!」「ごっつ、ベタですね」とキャラクターや文字、デザインを作って遊んでいた。
でも結局、厄介なハヤトウリは機械での下処理が不可能ということで、商品化はあっさりとお蔵入りに。

…なったはずが、数日前に電話が鳴って「製品化するよ!シール作るからデータ出して!」と社長さんの声が!嬉しかったと同時に「ありゃ、データ消してたりして…」と、けっこういい加減なデザイナーの脳裏に不安がよぎる。
いつから売る、というところももう決まっているそうな。

幸いデータは危ういところで残っており、こうして日の目を浴びることに。もうすっかりこんなイラストしか描けなくなったのか…と我ながらがっくしなのですが、ともあれ「うり太郎」として世間に出ることになったようです。
鹿児島県の某大手スーパーの某店より、順次販売されるとのこと。しかし、今の季節しかとれないハヤトウリ。栽培なんかわざわざされない田舎の厄介者、ハヤトウリ。なくなり次第今シーズンはあっさり終了なのかもしれません。
元気な「うり太郎」はワーイワーイと走って逃げてゆくので、たまたま見かけたら買ってみてください。すごい美味しいです。マジです。私は自分で作って瓶に入れ、見本で届くシールでも貼ることにしちゃおっと。

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めずらしくボツになった別案もお見せしましょう。
ぱらぱら走ってるのが好きだったんですけど…。

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いつかアニメーションで動かそうかな、って感じの「うり太郎」です。


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2006年11月23日 22:25に掲載された表紙の写真です。

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