アールエイチ・プラスの本棚に並ぶ背を見ると、デザインに関するものより食の本がだんぜん多い。
食を通して見えてくるのはたくさんの人間の生き方や、社会の構造、矛盾や現実。いや、そんな大それたことを言わずとも、生きていく上で欠かせないことは食べることだから、私はなるべく食のことを知っておきたい。
世界30カ国のふつうの暮らしを収めた写真集「地球家族」シリーズの第3弾がこの「地球の食卓・世界24か国の家族のごはん」。東京都小平市のウキタさんち、スーダン難民キャンプのアブバカルさんち、グリーンランドのマドセンさんちなどが冷静に並列されている。そして、その家族背景なども細かく取材されているので、読み物としてもずっしりとくるデータの集積となっている。
家族一緒に1週間の食材を囲んでの写真は、どの国も「えっ、そんなにパッケージされたものが多いの!?」と驚かされる。失礼ながらもっと簡素な包装、もしくは無包装が多いと思っていた。しかしプラスチックや紙のパッケージがたくさんあるということは、輸送されたものを食べるようになってきているってことですね。今で言うところの地産地消ではなく。
過剰包装の食材をたくさん積み上げた家族を見て、いまさら「豊かだなぁ!」とはもう思えないだろう。そして、この写真のように自分の台所にあるものを並べたらどうなるか、想像してみるとがく然とする。気をつけているつもりでいても私たちの食卓はどんどん余計なものに侵食されてゆくのだ。
わずかな雑穀を練り上げたものだけで365日生きてゆく人がいる、一日30品目365日を守って生きてゆく人もいる。どちらでも生きてゆけるのであれば、あとは何をどう食べるかその人次第(もちろん国の情勢が大きく関わりますが。日本も今後例外なく)、生き方次第だろう。
一人の人間を作り上げてゆくのは、食べるもの。
どう生きたいかは、死ぬまでの間に何を食べるか、ではないだろうか。
「地球の食卓・世界24か国の家族のごはん」
Peter Menzel,Faith D'Aluisio共同制作 2006初版
TOTO出版 ¥2,940
ハードカバー288ページでこのお値段はすばらしい。
「どの家族の写真が好きか」という視点で眺め、自分の食卓と比較すると楽しい。

