« 新しい庭のメンバー | メイン | プロの植栽テクニック・タマリュウ篇 »

ぼちぼち、今だから書けること。

070313-01.gif

いよいよあと2週間ほどでお引っ越し&移転。なるべく状況を細かく更新しようと思ってはいたものの、それもままならずの慌ただしく落ち着かない日々でした。…って、まだ終わってないですけど。

ともあれ、なんとか区切りが見えてきたので、ここらで軽く総括です。

「きっとこだわりのある家なんでしょうね!」と、多くの方に声を掛けて頂いてます。でもこの1枚の写真を見てお分かりの通り、とてもあっさりした仕上がりです。「こだわりの古民家風」でもなく「こだわりの天然素材」でもなく、合板やペンキを自力で張って塗っただけのまっさらな家です。 
中央に置いてあるのは合板手作りの置きっぱなしキッチン(オットモドキよ、あなたはエライ)、換気扇がないのは昔のおばあちゃんの台所にはなかったから、という理由です。煙が出るような魚は外に出て七厘で焼くのです。今までもずっとそうしてきたので、特別なことではありません。

そんな「イマドキハヤリのこだわり」なんて何もない家づくりを、工務店さんに理解して頂くのは至難の業です。だって、目に見えて古民家風とか、珪藻土を壁に塗りましたとかしたほうが分かりやすいんです。金額も積もりやすいし。それをあれもこれもいりません、というのは却って効率が悪く逃げが効きません。等間隔に釘が打ってあるか、壁と柱がすべて直角水平出ているか、柱の継ぎ目がぴしゃっと合っているか、そんな基本が露出するのです。 
そんな基本は当然、いちいちシロウトが言わなくたってさらっとやって引き渡されるかと思っていたのです。
でも、そうじゃなかった。悲しくなるほど汚なかった。今まで私が関わってきたモノづくりをする人たちにこんな粗い仕上げをする人はいなかったから、てっきり丁寧にキレイに当たり前に仕上げるのって普通のこと、プロならなおさらだと思ってたんです。

でも、そうじゃなかった。

なにか作業工程が進むたびに変なことが発生していて、その確認のためにドキドキしながら現場に向かい、案の定発生していたそれらを修正してもらうために「プロに向かって」言わなければなりません。まるで自分がイジワルな人間になった気分です。言われた側はなぜでしょう、ものすごく笑顔でイヤな顔をします(最初は職人さんだからと丁重に低姿勢にでしたが…これでは結局いつまでも解決せず)。または、私の顔を見るたびにびびります。それがずうっと続きます。そうなるといつしか自分自身に向かって「私ってすっごいイジワルなんじゃないか?」と思うようになります。

やがてようやく最近になって、相当落ち込みきったところで腹が据わりました。
「釘はまっすぐに打つものだろうし、裏に突き抜けたらいけないもんだろ。窓枠の位置が左右で1センチ違うのはあり得ない。見苦しい繋ぎ目や隠れるべき部分を隠さないのはおかしい。基本構造が素人目で見てもどーしたって、おかしい。基本じゃないか。難しいことなんて言ってないわーい!プロならやってなんぼじゃ〜い!私の方が間違ってるなら言い返して来んか〜い!」
ああ私、こんなにも鍛えられてしまいました。しくしく。

今日も懲りずに水周りだけでいくつものミスを発見!発注間違いパーツの品番を自分でFAXし(納期に時間がかかっちゃいかんし)、タイルと配水管の接合面のズレを図解で指示し、危うく頼んでもいなかったトイレットペーパーホルダー(メーカーロゴ入り・プラスチック製…ううっ!涙)が取り付けられる寸前で阻止し、天然記念物的花柄のプラスチック製三角サニタリーボックスを突き返し(これは女性なら絶対イヤーッと叫ぶと思うの…涙)、トイレリモコンの取り付け位置を直接指示し(フツウは機械的に壁と床から何センチ、てなことらしい。壁の柄やタイルの位置は無視なのかしら…涙)、てな状態。
もちろん自分のお仕事は通常通り営業中。ぱっと立ち寄ってだだっと指示し、またお仕事へダッシュ。もう、まるで漫画のような展開ながら…ノンフィクション!

でもね、ま、仕事帰りとかに一人静かに見回すと、なんだかいい感じなんですよ。
屋根のすぐ上からはそろそろノドのこなれたウグイスの声が大音量で聞こえてくるし、日の差し込みも程よいし、小川の音も小さく聞こえてきたり。必要なもの、好きなもの、大事なものだけしかない空間を作ってしまったなあ、と。
そこへ、モノに溢れてしまった今の暮らしをフィルターにかけて、必要なものだけを持ち込むのです。
自分自身を振り返ったり弱さを反省したり、仕事に対する姿勢を見つめ直したり、オットモドキの精神力と体力に頭が下がったり。家を作るということはえらく疲れることだけど、実に得難い経験でした。…まだずっとずっと続くけど。

ほか多数のネタをお聴きになりたい方は、4月に入ったらぜひ直接お訪ねください。
桜の花咲く木の下で、新しい仕事場をお披露目しつつ笑ってご案内いたします。

About

2007年03月13日 21:52に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「新しい庭のメンバー」です。

次の投稿は「プロの植栽テクニック・タマリュウ篇」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

鹿児島・グラフィックデザイ|広告ディレクション